Vol.26 やるべきことを、やり尽くした結果か?(2020.2.22)

地域⾦融機関の⽴ち位置は︖

コンサルティングだけでなく、地域⾦融機関の方々に講演・研修をさせていただく機会が少なからずあります。
今年になってから、その機会を利⽤して、下の図を使い「地域⾦融機関の⽴ち位置」に関する認識をまず最初に尋ねています。
横軸が「現状」です。右に⾏くほどPositive、左に⾏くほどNegative。縦軸が「先⾏き」で上がPositive、下がNegative。ともに中⽴というものを含めた全17の選択肢のなかから、1つを選んでもらいます。
皆さんは、どこを選択しますか︖
そして、⾃⾏(庫)の⾏職員の多くは、どこを選択すると予測しますか︖

全国各地の地域⾦融機関の⾏職員、延べにして約400名、本部職員・⽀店⻑・営業店の中堅層・⼊⾏5年目の若⼿層と多様な層に尋ねてきました。
場の制約上、「御⾏(庫)の」⽴ち位置とは聞かず、あくまでも業態として「地域⾦融機関の」⽴ち位置は、と問いかけをしていますが、多くの人は⾃らの組織を思いながら回答したのではと推察します。
さて、結果です。
どこの場でも、回答の傾向はほぼ似ていました。
もっとも多いのが⑬、すなわち現状・先⾏きともに「ややNegative」で、5〜6割の人が選んでいました。次点が⑪で3〜4割、それ以外の場所(多くは⑫⑭⑮)を選んだ人が1〜2割といったところです。
皆さんの回答・予測と⽐べて、どうでしたか︖

現状はNegative

参考までに、私の⾒⽴ては「現状」は一番左の列、すなわちNegativeです。これまでの伝統的ビジネスモデル(預貸の利鞘で稼ぐ)が通じなくなり、儲からない、異業種からの競合にどんどん浸⾷される、採⽤に苦しむ、若⼿は辞める、
マスコミも悪い面ばかりを強調して報道する…etc。相当に現状を厳しく捉えています。
ただ、こんな話で終わったのでは、講演・研修の参加者が暗くなるだけなので、そのあとに次の問いかけをしています。

やり尽くした結果だろうか

「いまの厳しさ・苦しい状況は、やるべきことをやり尽くした結果だと思いますか︖」

この点、私の認識はNOです。
もし、やるべきことをやり尽くした結果、いまの状況だとしたら、それはもう業態として終わりです。The End。万策尽き果てた状態です。
でも、そうではないはずです。
過去に⼿を抜いてきたとか、不作為があったとか、そういう話ではなく、地域⾦融機関の置かれた「環境」が大きく変わってきているのです。
「環境」が変わり、新たな環境のもとで、やれていないことが多く残されているのですから、それをやれば良くなるだけです。伸びしろが、たくさんあります。
さらに、かつての⾼度成⻑時代、一億総中流と言われた時代を終え、いまは大企業が提供する誰もが持っている・使っている商品サービスよりも、個性があり⾃分だけが知っている・使っている商品サービスが好まれる時代になっています。
ビジネスにおいて、柔軟性やスピードが大事な時代になっています。
これすなわち、「中小企業の時代」と言えるでしょう。ということは、中小企業をサポートする「地域⾦融機関が重要な時代」です。
こう考えると、「先⾏き」はものすごくPositiveに思えませんか。

先⾏きPositiveを選択する人を増やしたい

本ニュースレターの前号、Vol.25「『課題解決型営業』という言葉の罠」にて、⾏(庫)内で使っている言葉を、ネガティブなものから、ポジティブものに変えましょう、と書きました。
本号で述べたことも、根は一緒です。
前の図でいうと、一番上の⾏を選ぶ人が増え、「まだまだやれることは、たくさん残っている」「やりさえすれば、この先は良くなるだけ」と思う⾏職員の多い地域⾦融機関は、どんどんと良くなると思っています。そんな人・地域⾦融機関が増えることを願い、応援しています。

以上、髙橋昌裕からのYELLでした。