Vol.65 地銀はいま何時(2025.4.3)

若⼿・中堅の認識は、午後遅め〜深夜

「いま、地銀業界を“1日”にたとえるとしたら、何時頃だと思いますか︖」


プロジェクトや研修で出会った、複数の地銀の20代〜30代の若⼿・中堅⾏員に、こんな質問をしてみました。これから明るくなる日の出頃︖もっとも明るい昼前後︖だんだん暗くなる⼣⽅︖それとも真っ暗な真夜中︖

回答で多かったのは、午後の遅めの時間帯〜深夜2時・3時頃でした。つまり「これからどんどん暗くなる」「いま真っ暗」「当面、明るくはならない」といったニュアンスです。

一⽅で、これから明るくなる「早朝〜午前中」と答えた人は、ごくごく僅かでした。

こうした“時間感覚”に、今の地銀業界の空気感が凝縮されているように思います。

“時間感覚”

数年前から、多くの地銀で若⼿・中堅層の離職が問題視されています(他業種でも同様の傾向はありますが)。もちろん、待遇やキャリア形成、働きがいなど様々な要因があります。

そうしたなか私が気にしているのは、先の質問にあるような“時間感覚”です。

社会人人⽣がまだまだ⻑い若⼿・中堅が「これから暗くなる」「暗さは続く」と感じていたら、その仕事に希望を持ち続けるのは難しいでしょう。頑張った先にあってほしい「光」が⾒えなければ、目の前の業務は消耗にしかなりません。前向きなエネルギーも湧きづらくなります。

離職は、個人の判断であると同時に、組織や業界全体の未来を映し出す鏡でもあります。「この先も暗さが続く」と思えば、人はそこから離れることを選びます。

だからこそ、「いま何時だと思うか」は、重要な問なのです。

自然体でいればネガティブに

もちろん、若⼿・中堅⾏員の物事の捉え⽅に問題がある、という話ではありません。

銀⾏の中では、「地⽅銀⾏を取り巻く環境は依然として厳しく」「県内経済は未だ回復基調とは言えず」など、厳しさや大変さを表す定型句に溢れたなかで仕事をしています。

外部から入ってくる情報も、地銀関連の記事は「危ないランキング」「淘汰の波」など、ネガティブな視点から語られるものが目⽴ちます。

すなわち、自然体で⾏内外の情報に触れているだけで、将来を暗く感じるのは無理もない環境に置かれているわけです。

私の認識は、夜明け前後

ここで、もう一つ質問です。

皆さん自身は、地銀業界をいま何時だと思っていますか︖

ちなみに私は、早朝4時〜5時頃、すなわち夜明け前後の頃だと思っています。一日でもっとも暗い時間帯を乗り越え、ようやくこれから明るくなってくる、そんな動き出す準備が整い始める時間帯に地銀業界はいるのではないでしょうか。

実際、多くの規制緩和が進み、以前と比べるとできることは格段に増えました。出資基準も緩和され、非⾦融領域の取組みも推奨されています。外部プレイヤーとの連携も進み、やりたいことはほぼできる下地が作られました。チャレンジが許容される、いよいよ面白い時代になってきたと言えるでしょう。

いまこの時は、後から振り返って「変化の始まりに⽴ち会えた」と言える、貴重な時間になるのではとも思っています。

“時間感覚”のギャップ解消を

ところで、こうした“時間感覚”は、私だけでしょうか。そんなことはないと信じています。

地銀の経営陣や管理職の皆さん、そして社外にアンテナを張り巡らせている⽅々とは、“時間感覚”が似てるのではないでしょうか。

もしそうならば、“時間感覚”の認識ギャップはとても勿体ないことです。この先、明るくなることを知らぬまま、若⼿・中堅は日々のルーティンに埋もれ、「この業界はまだ暗そうだ」という思い込みに侵されてしまっているわけですから。

だからこそ、皆さんの“時間感覚”を言葉にして、若⼿・中堅に伝え続けてほしいと思います。

「地銀は、ようやくこれから面白くなってくる」
「君たちの出番はこれからだ」
「ルールが変わる今こそ、若い発想が必要だ」
「みんなで挑戦していこう」

そんなひと言を、自然体で浴びる「厳しい」「大変」を上回る量で語り続けることで、若⼿の“時間感覚”は夜中の暗い時から、皆さんと同じ、先⾏きの明るい時間帯へと変わっていきます。
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夜明けの時間。まだ少し肌寒いかもしれませんが、確実に光が差し始めています。若⼿・中堅を含め、多くの⾏員がそんな“時間感覚”を持つ地域⾦融機関は、活⼒に溢れることでしょう。明るい朝は、すぐそこまでやってきています。

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以上、髙橋昌裕からのYELLでした。