Vol.33 ⽀店⻑を再び「憧れ」の職種にしよう (2020.9.16)

登録数が500を超えました

本ニュースレターの「更新のお知らせ」メール&LINEの登録数が500件を超えました。想定をはるかに上回る登録をいただき、感謝で一杯です。
雑誌等への寄稿と異なり、外部から定められた「厳しい」締切がないため、ついつい更新の間隔が空いてしまうのが⼤いなる反省点であり、私の弱さなのですが、引き続き、どうぞ宜しくお願いします。
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やはり「⽀店⻑次第」

さて、本題に入ります。
新型コロナをうけてのお客様対応については、素晴らしい話、少し首をかしげたくなる話の双方が聞こえてきます。それらを踏まえ改めて感じたのは「⽀店⻑次第」ということです。
⽀店⻑については、ニュースレターVol.22の「『⽀店⻑』育成強化のススメ」でも書きましたが、改めて⽀店⻑について考えてみます。

社会的評価の⾼さ

「あの⼈は、銀⾏の⽀店⻑までやった⼈だから」

一定の年齢以上の親類や知⼈と話をすると、定型句のように、こんな表現がでてきます。私の周りにいる⼈だけが特殊とは思わないので、日本中で⾒られる事象なのでしょう。
耳慣れた言い回しゆえに違和感を覚えずに聞き流していますが、この表現、冷静に考えてみると凄いと思いませんか。「⽀店⻑をやった」ことが、その⼈物を語る際にポジティブな枕詞として当たり前に使われるのは、全業界を⾒渡しても、銀⾏の⽀店⻑くらいでしょう。
社会的評価が、もの凄く⾼いものだと再認識させられます。

若⼿が⽀店⻑を目指さない

それにもかかわらず、若⼿⾏職員で「将来、⽀店⻑になりたくない」という⼈が増えています。
もちろん、銀⾏業務は以前と⽐べて多様化しているので、「営業担当⇒⽀店⻑⇒部⻑⇒役員」といった“伝統的”キャリアパスだけが重視される時代ではありません。⽀店⻑職を経験しなくとも偉くなれる、“複線型”のキャリアパスの導入・定着は必須でしょう。
とは言うものの、銀⾏も営業の会社です。
⽀店⻑になりたがる若⼿が少ないというのは、寂しくもあり、望ましい姿とは思えません。

憧れ・魅⼒に乏しい

それでは、なぜ若⼿は⽀店⻑になりたがらないのでしょうか。何⼈かの若⼿⾏職員に聞いてみたところ、次のような回答がかえってきました。
 ・仕事が⼤変なわりに、成績優秀店でもなければ報われてる感じがしない
 ・数字の責任も含めて、とにかく責任が重そう
 ・本部に叱られてる姿ばかり⾒ているので…
 ・働き方改革で職員の残業は減った分、シワ寄せが⽀店⻑に⾏って残業が多い
 ・⽀店⻑を⾒ていると、ストレスをたくさん抱えてるのが伝わってくるから
  …etc

いくつかの声がありましたが、要は「憧れない」「魅⼒的に思えない」ということのようです。
「憧れ」も「魅⼒」も感覚的なもので、捉え方は⼈・世代によって違います。⼤事なのは、「次世代・次々世代を担う若⼿⾏職員」にとってどうなのか、という視点です。

現役支店長に活⼒がある場合

現役⽀店⻑の多くが「こんな魅⼒的な職はない」と、やり甲斐をもって働いているならば、単に魅⼒を伝えきれていないだけです。
このケースでは、態度と言葉で、やり甲斐を伝えていけばいいでしょう。
ただし、現役⽀店⻑が魅⼒に感じることと、若⼿が魅⼒に感じることは、まったく違うかもしれません。価値観の押し付けは逆効果になるだけなので、注意が必要です。

現役⽀店⻑に輝きがない場合

一方で、現役⽀店⻑⾃⾝が、表向きはともかく本心ではイキイキ・ワクワクしていないケースもあります(こっちの方が多いかも)。
これでは若⼿に⽀店⻑の魅⼒をいくら語ったところで、目指そうと思う⼈は少ないでしょう。
この場合、現役⽀店⻑の輝きを増すのが先決です。
そのためには、「組織的」な⼿を打っていくことが必要です。
たとえば、⽀店⻑がヒーロー/ヒロインとなる機会を増やしてはどうでしょうか。スポットライトを浴びている姿と、叱責されている姿の、どちらを⾒て若⼿が憧れ、目指そうと思うかは⾃明です。
いま、多くの地域⾦融機関で、⽀店⻑にスポットライトが当たるのは業績表彰で優秀店になったときぐらいです。それでは機会が少なすぎ、特定の⽀店⻑に偏る可能性もあります。
多くの⽀店⻑が輝く姿を、多くの若⼿が⾒ることで、⽀店⻑職への憧れが⽣まれ、⽀店⻑を目指す上昇意欲が湧いてくることでしょう。
もちろん、形式的に上辺だけのスポットライトを当てても無意味です。若⼿は冷めるだけで逆効果になります。⾃組織に相応しいスポットライトの当て方を、「組織的」に練り、実⾏していくことが求められます。


今回は一例だけ採り上げましたが、各組織の実態や、「若⼿目線」での魅⼒的な⽀店⻑像をもとに、⽀店⻑職を再び「憧れ」のものにして欲しいと思っています。
それが、次世代に進む組織の活⼒向上につながると信じているからです。
以上、髙橋昌裕からのYELLでした。