Vol.42 もっと気軽に実行(行動)を(2021.8.9)

実⾏⼒を⾼めたい

今年も地銀協主催「経営企画研究講座」の全体統括をしています(*)。
(*)本講座は、BRAVEYELLとしてではなく、A.T. カーニー(株)のアソシエイテッドコンサルタントとして受け持っています

講座では、若⼿〜中堅の 企画担当者に、基礎的スキルとなるロジカルシンキングに始まり、⻑期ビジョンや経営計画の策定⼿法をグループ演習も交えて学んでもらいます。 また、講座の後半では「実⾏⼒を⾼める」ための方策も受講生と一緒に考えていきます。

私が本講座を受け持った当初(もう10年以上前 でしょうか)は、「実⾏⼒」について扱っていませんでした。しかし、「中計を作ることが目的化 しているきらいがある」「中計の策定に労⼒をかけている割には、実⾏が⼗分にできていない」という声が多かったことから、数年前より「実⾏⼒」の枠を設けました。この点、地域⾦融機関の皆さんは、背景を理解いただけるのではないでしょうか。あえて「地域⾦融機関の皆さんは」と書いたのは、別業種の方には「実⾏⼒が弱い」ことについて、理解いただけない可能性があるからです。実際、何年か前に本講座にゲストスピーカーとして別業種(サービス業)の方をお招きした際に、「講座の後半で、実⾏⼒の強化も考えていきます」とお伝えしたところ、「計画したら⾏動するのは当たり前で、あえて実⾏⼒についての研修時間を設けている理由がよく分からない」と 不思議そうに⾔われてしまいました。

実⾏は「最後の壁」か︖

考える(計画する)、そして実⾏(⾏動)する。


この一歩を踏み出すのに⼤きな⼒が必要となっています。背景には、地域⾦融機関の「失敗」を過度に避けたがる風⼟が影響していそうです。「失敗」するわけにはいかないからこそ、慎重に慎重になっているのではないでしょうか(なお、失敗についての私の考えは、Vol.36「『失敗しない』をぶっ壊せ」に書きました)。

そしてもう一つ。

一歩を踏み出せない⼈が多くいる理由について、ある地銀の若⼿⾏員の方と意⾒交換をするなかで感じたのは、「実⾏(⾏動)することをゴールと思っているのでは」ということです。ゴールというと語弊があるかもしれませんが、実⾏(⾏動)を「最後の壁」と思っているので、そこに踏み込むことをオオゴトととらえてしまっているのではないでしょうか。「最後の壁」だから、⼤変で労⼒がかかる、という⾃⼰暗⽰かもしれません。

でも、本当に実⾏(⾏動)は「最後の壁」なのでしょうか︖

足踏みしている場合ではない

私の好きな図を共有します。

仲⼭考材代表取締役で楽天⼤学学⻑(楽天で唯一の兼業⾃由・勤怠⾃由の正社員)などでもある、仲⼭進也さんが作成したものです。

出所︓仲⼭進也さん作成、「きょうの考材」より。
仲⼭さんに了解いただき掲載しています


「知らない」状態から、「知る」ことができ、そして最後、定着して継続的に「している」状態になるまでには、5つの壁を乗り越える必要があると⾔っています。

・知識の壁(知らない⇒知る)
・⾏動の壁(知る⇒やってみる)
・気づきの壁(やってみる⇒わかる)
・技術の壁(わかる⇒できる)
・習慣の壁(できる⇒している)

5つの壁のうち、「⾏動の壁」は2つ目です。決して「最後の壁」ではありません。⾏動したあとにも、まだ壁は次々とやってきます。

そうならば、実⾏(⾏動)の前で足踏みをしている場合ではない、と思いませんか。さっさとやってみて、そして次々とあらわれる壁に挑まないと、とてもではないですが目指すところには辿りつきません。

ゲームでたとえるなら…

実⾏(⾏動)を、最終ステージに登場する最強の敵(ラスボス)だと思っていたのに、実際にはステージ序盤にでてくる平凡な敵(雑魚キャラ)だった、という感じでしょうか。

「雑魚キャラ」は⾔い過ぎかもしれませんが、オオゴトととらえずに、これくらいの気持ちでいることが、実⾏⼒を⾼めるには必要だと思います。

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考えたことを、どんどんと実⾏(⾏動)してみることで、より早く習慣化した「している」状態にまで至ることを楽しみにしています。

以上、髙橋昌裕からのYELLでした。