「言語化」
7月~9月にかけての計8日間、今年も、地銀協主催「経営企画研究講座」で講師を務めました。各行企画部門等の中堅層を対象とした研修です。
この講座のなかで、私は受講生に「言語化」することを意識してもらいました。
定義が曖昧な“一般用語”レベルで、それらしく浸透している言葉は、多くあります。「地域社会への貢献」「総合サービス業」「お客様本位」「コンサルティング」etc… どれも、否定する余地のない言葉です。しかし、このレベル感のままだと、何をすべきか・何をすべきでないか、何のことを指しているのか、どこに意義を見出せるのか、について同じ目線とはならず、共通の理解は得られません。これは推進力の欠如に直結します。
だからこそ、“一般用語”レベルで満足して思考を停止させず、もう一歩踏み込み、自行庫ならではの意思が明確になるまで「言語化」してみることが大事です。曖昧なまま誤魔化すことができなくなり、思考の整理にもつながります。
言語化=具体化とは限らない
少し補足すると、「言語化」=具体化とは限りません。抽象的な概念を言葉にすることも、大事な「言語化」です。これに関連して、ネット媒体PRESIDENT Onlineに、キリンで「一番搾り」「淡麗」等多くのヒット商品を開発した、前田・前社長についての興味深い記事*がありました。
*出所:https://president.jp/articles/-/60931?page=3
あるとき部下(A氏)が、管理職の登用面接を受けたところ、面接官の一人に上司である前田氏がいました。別の面接官から仕事内容を尋ねられたA氏が、具体的な商品開発の内容を答えたら、試験後に前田氏に「あきれた」と一蹴され、「お前には抽象的な概念が欠けている」と言われたそうです。この指摘をうけA氏は「私は、健康という価値を酒類に取りこむ仕事をしています。開発した発泡酒〇〇は、日本で初めてヒットした健康系の酒であり、いまは健康という概念を市場に定着させようと取り組んでいます」と話すべきだったと気付いたそうです(詳しくは記事参照)。
抽象的な概念の「言語化」です。たとえば、自行庫の「地域社会への貢献」を、こうしたレベル感で「言語化」できると、より意義が明確になり、行職員の意欲も増すのではないでしょうか。
「共通言語化」
推進力を高める観点からすると、組織内で「共通言語化」することも大事です。自分だけが分かっていても、それを組織の検討・実践の力として活かすには不十分だからです。
「共通言語化」の材料は、組織外にもあります。最も手軽なのは本です。地域金融機関の役員の方とお会いすると、特定の本についてよく話題になります。その本を、組織内の皆んなで読めば、それが「共通言語」となり、同じ土台のもとで検討を進められるでしょう。しかし、組織の皆んなで読むことまではあまり行われていないようで、勿体なく思います。そこで、今回、次のような企画を立ち上げ、機会を提供することにしました。
期間限定企画のご案内
①狙い:本を読んで組織内で共通言語化をはかり、施策への落し込みを検討する
同じ組織に属する人が、同じ本を読み、検討・会話の「共通言語化」をはかります。各人の感想を共有して「気付きを発展」させたのち、本からの学びの活かし方を具体的に考え、「行動」につなげることを狙います。このプロセスに、私がファシリテーターとして参加します。
②流れ:2回のオンラインセッション
・読書対象とする本を決定
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・<参加者全員が本を読む>
↓
・【1回目】本を読んでの感想・気付きを共有
↓
・<参加者全員が学びの活かし方を考える>
↓
・【2回目】施策への落し込みを意見交換
③対象者:部・店などの組織単位
地域金融機関および関連会社が対象です。本からの学びを施策につなげることを目的とするため、部・店などの組織単位で実施します。人数は意見交換に重点を置くことから4人~8人程度が理想的です(組織の全員が参加する必要はありません)。なお、過去に実施した期間限定「One Coinセミナー」では、若手層のみを対象としましたが、今回の企画では年齢制限は設けません。
④開催日:予定があえば平日・休日いずれも可
オンラインセッションは、1.5時間~2時間 / 回程度を想定し、平日の昼間・夜間、土日祝日、いずれも予定があえば開催します。開催タイミングは、本を読む準備期間も踏まえ、主催者と相談して決めます。
⑤対象とする本:主催者が選定
組織で「共通言語化」したい、他の人の感想も聞いて「気付きを発展」させたい、本からの学びを「行動」につなげたいという観点で、主催者が選定してください。ビジネス本・自己啓発本・歴史本・小説・マンガなど、ジャンルは問いません。
⑥費用:2万円
この企画で弊社が儲けたいわけではないので、対象先数を絞って無償でやることもできます。しかし、有償と無償とでは参加者の本気度がまったく違うことが多いので、あえて有償で実施します。
⑦申込期間:2022年10月末日まで
10月末まで申込みを受付けます。前向きな思いに応えたいため、基本的に申込みがあった全先で実施します。ただし、申込みが多かった場合には、余力の関係で実施が少し先になる可能性があることは、ご了解ください。なお、申込みの段階では、対象とする本が決まっていなくても構いません。
⑧申込・問合せ:メールにて
ご連絡は、以下までお願いします。 (☆マーク部分を、@に変換ください)
takahashi☆braveyell.co.jp
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多くの方との意見交換を楽しみにしています。
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以上、髙橋昌裕からのYELLでした。