Vol.61 相続手続きでの”感心”体験(2024.9.15)

1年半ぶりのニュースレター

約1年半ぶりのニュースレター発⾏です。

昨年は、コロナ禍の反動で多くの出張機会をいただき、全国を飛び回る日々でした。忙しさを言い訳にニュースレターの執筆を後回しにしていたことを反省し、今年は定期的に書くつもりだったのですが…春先に高齢の父が体調を崩し、6月に他界したため、バタバタが続き、気付けばこの時期になってしまいました。

相続⼿続きで感じたことを書いていく

現在、仕事の合間に相続対応を進めています。⾦融関係では、8つの銀⾏(含む信⾦)で預⾦の解約⼿続きをしました。仕事ではなく、⼀利⽤者として複数の銀⾏と接する貴重な機会でもあり、多くの気付きがありました。

そこで、3回にわけ、銀⾏での相続⼿続きを通じて感じたことを、利⽤者視点で書いていきます。

感心した体験

初回は、支店担当者の対応が素晴らしいと感心した体験です。

前提として、銀⾏にとって相続対応は、相続⼈との関係を作る絶好の機会だと思っています。ただ、業務負荷がかかるため、支店から切り離して本部の相続センターでの対応が主流となっています。支店が関与するケースでも、関係構築よりも、ミスなく相続センターに⼿続きを受け渡すことだけに意識が向いているケースも多そうです。

それ故、関係構築の機会として、活かしきれていないように感じました。

しかし、8つの銀⾏の⼀つである三井住友銀⾏(SMBC)の支店担当者(Aさん)の対応は、関係構築の観点で素晴らしいものでした。

Aさんとは、亡くなった父も、私も⾯識はありませんでした。また、ここ数年はメガバンク目線で「優良先」にセグメントされるほどの預⾦もしていません。そうしたなか、以下のような対応をしてくれました。

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1)相続センターに父の死亡を届け出た翌日に、私の携帯電話に連絡あり。移動中で電話をとれなかったので、留守電を確認。お悔やみの言葉とあわせ、以前SMBCを通じ父が生命保険に加入していたため、保険⾦請求のために保険会社の連絡先を伝えようと電話した旨のメッセージ

2)数日後、再度、電話あり。「お忙しいところ、電話に出てくださりありがとうございます」という切り出しから、お悔やみの言葉と、支店⻑とお線香を持ってうかがいたい旨の申出をいただく。保険⾦請求の件は、すでに私が保険会社に連絡済であることを把握していた。また、保険に加入した際(Aさん着任前)、当時の支店⻑と私との間でトラブルがあったことを把握していて、「過去、支店⻑が⼤変なご迷惑をおかけしたようで、申し訳ございませんでした。現在、支店⻑は〇〇という者に代わっておりますので、お伝えだけでもしておきます」と、自身が直接は関与していない過去のトラブルも伏せることなく話題にしてきた

3)上記1)と2)の間に投函したであろう、⼿書きのお悔やみメッセージが郵便で届く。同封されていた「相続定期預⾦」のチラシには、「ご相続の⼿続きを終え、落ち着かれてからご検討ください」という⼿書きの付箋が添えられていた

4)相続対応の過程で“ある⼿続き”をしたいと思い、SMBC本部のコールセンターに照会したが、規程を理由に「対応不可」とあっさりと断られた。その件について、ダメ元でAさんに相談したところ、必要性を理解してくださり、上席者に確認のうえ、例外対応を認めてくれた

5)事前予約のうえ、支店に相続関係書類の提出+上記4)の⼿続きに⾏った際には、応対する窓口の⼿続き担当者と事前に連携をとり、私の時間の制約(その日は〇時までしか時間がない)を伝えてくれていた。この際に、Aさんだけでなく、支店⻑も挨拶にきてくれた

6)本部での解約処理が終わり、私の口座に着⾦した翌日に、⼿続きが完了した旨の連絡をくれた

けっして「当たり前」ではない

どうでしょうか。私はAさんの対応に感心しました。相続対応で1〜2⾏としか接点を持つことがなければ、もしかしたら「当たり前」と感じたかもしれません。しかし、多くの銀⾏と同内容で同時期に接したことで、けっして「当たり前」ではないと気付きました。

相続センターと情報連携して、支店担当者から連絡をくれたのはSMBC(Aさん)だけだったので、気にかけてくれているな、と感じました。他⾏では“感情⾯”でプラスに感じることは何もなかったので、「早く・無事に⼿続きが終わりますように」という事務的で乾いた感想しか持ちませんでした。この差は、とても⼤きいです。

“感情⾯”の補足をすると、「お忙しいところ、電話に出てくださりありがとうございます」という言葉の選択からしてステキだなと思いました。「お忙しいところ申し訳ございません」は、たくさん聞いてきました(私もたくさん言ってきました)が、この場⾯で「ありがとうございます」は初めてです。「申し訳ございません」より「ありがとうございます」と言われた方が心が動きます。

また、過去のトラブルについては、触れられたくないと思う担当者が殆どでしょう。にもかかわらず、隠すことなく自ら俎上にのせてきたので、信頼できる方だなと思いました。
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この感心体験ができたのは、SMBCの仕組み、⼈材育成、Aさん個⼈のセンス、の三つが揃ったからです。⼀朝⼀夕にできることではありません。だからこそ、こうした担当者がいることは、その銀⾏の⼤きな強みになり得ます。

願わくば、Aさんのような担当者が増え、相続という個⼈にとっての⼀⼤イベントを機に、地域⾦融機関とお客さまとの関係が深まるようになってほしいなと思っています。
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以上、髙橋昌裕からのYELLでした。