Vol.60 ファイナンスがあるから深い話も聞ける(2023.3.28)

友人の話

友⼈が新ビジネスを始めるに際し、会社を⽴ち上げました。店舗資⾦なども含め初期費⽤が必要なことから、複数の地⽅銀⾏と話をしたそうです。

その際、ある地⽅銀⾏の担当者はマーケティングに関する興味・知識がずば抜けていて、質問内容が「稟議書の項目を形式的に埋める」レベルを超えていると感じたとのことでした。そのため友⼈は、ビジネスモデルに関する話も含めて楽しく話をすることができた、と言っていました。

結果として、複数⾏に相談を持ちかけはしましたが、この担当者のいる銀⾏と融資の話を詰め、無事に全額融資を受けられたそうです。

地⽅銀⾏の凄さ

この話を聞いて、まず思ったのは「地⽅銀⾏という業種は、やはり凄い」ということです。なぜなら、「経営者から、ビジネスモデルについて話を聞き、教えてもらうことができる」からです。

銀⾏員の皆さんからすると、当り前すぎて、何をいまさら、と思うでしょう。しかし、自社のビジネスモデルについて、他社・他⼈に口外したい経営者など、多くはいません。しかも、数字・具体策の裏付けも含めてのレベルでです。

これを聞くことができるのは、外から⾒ると「凄い」ことです。

ファイナンスがあるから話が聞ける

なぜ中⼩企業経営者は、地⽅銀⾏にビジネスモデルの話をしてくれるのでしょうか。

答えはシンプルで、融資を受けたい(受けている)からです。地⽅銀⾏の伝統的機能である、ファイナンスがあるからこそです。

試しに、流⾏りのChatGPTにも「中⼩企業の経営者は、なぜ地⽅銀⾏に自社のビジネスモデルを開示するのでしょうか」と質問を投げてみたら、理由の⼀番目はやはり「資⾦調達のため」でした。少し⻑いですが、回答を貼りつけておきます。

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中⼩企業経営者が地⽅銀⾏に自社のビジネスモデルを開示する理由には、以下のようなものが考えられます。

1.資⾦調達のため︓
中⼩企業は⼤企業に⽐べて資⾦調達が困難であるため、地⽅銀⾏から融資を受けることが多いです。その際、地⽅銀⾏が中⼩企業のビジネスモデルを理解し、その成⻑性や収益性を評価できることが重要です。中⼩企業は地⽅銀⾏に自社のビジネスモデルを開示することで、資⾦調達のための信頼性を⾼めることができます。

2.ビジネスの相談やアドバイスを受けるため︓
地⽅銀⾏は地域に密着しており、地域経済や産業についての情報を豊富に持っています。中⼩企業経営者は地⽅銀⾏に自社のビジネスモデルを開示することで、地域の情報やネットワークを活⽤し、ビジネスの相談やアドバイスを受けることができます。

3.新規事業展開のため︓
中⼩企業は競争が激しく、市場に新しいビジネスを⽣み出すことが求められています。地⽅銀⾏は地域の産業や経済の情報を持っているため、中⼩企業経営者は地⽅銀⾏に自社のビジネスモデルを開示することで、新規事業展開のアイデアを得ることができます。

以上のように、中⼩企業経営者が地⽅銀⾏に自社のビジネスモデルを開示する理由は、資⾦調達やアドバイス受け取り、新規事業展開のためなど、様々なものがあります。


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若⼿中堅⾏員の声

話は飛びます。

昨今、若⼿中堅⾏員の次のような声を、直接・間接に耳にする機会が増えました。

・営業担当者として融資に関する⼒が不⾜しているのは実感しているけど、それよりも、本業⽀援等に関する⼒を⾝につけていきたい

・コンサル子会社や地域商社などの部署がカッコいいし、異動になるとモチベーションが上がる。反対に、営業店の既存業務の担当は、やり甲斐を感じにくくモチベーションが下がる

若⼿中堅⾏員の気持ちも、理解はできます。

ただ、⼤事なことが伝わっていない(上司が伝えていない︖)と思ってしまいます。

本業⽀援にしろコンサルにしろ、お客様の深い理解は不可⽋です。お客様から多くのことを聞くことができなければ、スジの良い提案はできません。そして、お客様がビジネスモデル等を教えてくれるのは、前述したように地⽅銀⾏にはファイナンスがあるからです(無借⾦企業へのコンサルティングという視点はありますが、別のテーマとして、機会を改めます)。真っ当な融資ができる⼒をないがしろにして、他の⼒を⾼めたとしても、砂上の楼閣となってしまう危険があります。

また、お客様のビジネスモデル等の話に、最も多く接する機会があるのは、営業担当者です。経営者と会い、その会社のビジネスの話(嬉しかったこと、苦労したこと、目指していること、迷っていること等)を、いくつもの先で聞くことができるのは、地⽅銀⾏ならではの凄さであり、営業担当者の特権と言えます。地⽅銀⾏の営業担当者以外では、そうそうできないことです。

今は目先の数字・業務に追われすぎてしまっているので、凄さにも特権にも気付いてない⼈は多いでしょう。しかし、特権を活かしきることができれば、やり甲斐・モチベーションがUPしないはずはありません。もちろん更なる自⼰研鑽は必要ですが、それはどの部署・業務でも同じことです。
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時代の流れをうけ地⽅銀⾏の役割は変わっていきます。新たな領域への進出も、さらに進んでいくことでしょう。こうした動きのなかにあって、地⽅銀⾏が役割を果たし続ける源泉は、根幹にあるファイナンスの⼒だと思っています。この⼒の威⼒を若⼿中堅も含めて再認識し、さらに⾼め、活かしていくことを期待しています。
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以上、髙橋昌裕からのYELLでした。