Vol.62 相続手続きでの”残念”体験(2024.9.17)

“残念”と思わずにいられなかった体験

前号では、相続手続きで“感心”したことを書きました。今号では、大丈夫かな、しっかりしてよ、と思った体験を書きます。軽めのものではありますが、残念だなと思わずにはいられませんでした。

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1)死亡日が生まれる前(地銀)

相続センターに電話をし、残⾼証明書の発⾏依頼書を送ってもらいました。電話の内容をもとに何項目かは記⼊してくれていたのですが、⾒ると、死亡日が「明治33年1月0日」となっていました。生まれる遥か前に、死んだことになります。しかも、存在しない1月0日。明治33年は⻄暦1900年なので、システムの初期値のままなのでしょう。

銀⾏側で記⼊している箇所はいくつもないので、少しでも目を通せば、防げるはずのミスです。


2)⼿抜きの帳票改訂(⼤⼿⾏)

相続関係の手続き書類で、生年月日の年号選択が「令 大 昭 平」となっていました。並び順がおかしいです。帳票改訂の際に、「明」治を消して、その場所に「令」和を⼊れたと推察します。死亡年月日の欄も「令 平」だったので、「昭」和を消して、「令」和に上書きしてますね。

担当者の素案段階ならいざ知らず、これで帳票改訂にGOがでたことに驚きます。

この帳票についてさらに言うと「●代表相続人さまのお名前〜」の説明⽂に、影付きの装飾⽂字が使われています。影付き⽂字は読みにくいので、帳票での使用には適していません。


3)ヤクセキ連呼(地銀)

支店に相続手続きの関連で電話をしたところ、電話をうけた担当者に「必要な手続きをヤクセキに確認して折り返します」と言われました。折り返しの電話でも「ヤクセキに確認したところ」を何度も使っていました。私は銀⾏との仕事が⻑いので「ヤクセキ」は「役席」と分かります。それが上席者を指していることも分かります。でも、一般の人はピンとこないのではないでしょうか。

また、上席者のことと推察できたとしても、なんでもかんでも上席者に確認しないと話が進まない担当者では不安ですし、物足りなく感じます。「ヤクセキに確認して折り返す」など言わずに、「ご案内する手続きに間違いがあってはご迷惑をおかけしてしまうので、しっかりと確認のうえで、折り返しご連絡をさしあげます」と言えばいいのではないでしょうか。

4)読み解けない説明書(⼤⼿⾏)

相続手続きの「説明資料」に、提出資料に関し以下の記載がありました。

  A.被相続人さまの「⼾籍謄本」、または「法定相続情報一覧図の写し」(*)
  B.相続人さま全員の「⼾籍謄本」
  C.相続人さま全員の「印鑑登録証明書」
   (以下、略)
  (*)「法定相続情報一覧図の写し」がある場合、重複する「⼾籍謄本」の送付は不要です。

A.に記載の「法定相続情報一覧図の写し」があれば、実際はB.の相続人全員の「⼾籍謄本」も提出不要です。この説明で読み解ける人は果たしているのでしょうか。素人(お客さま)目線でのチェックがされていないよう感じます。

5)話を聞かないオペレーター(地銀)

相続センターに照会の電話をした時のことです。オペレーターは、これまでの経験から、話の途中でも、どのような質問か予測できるのでしょう。私の質問をさえぎって説明をし始めました。それが聞きたい内容であったならまだしも、ズレたものでした。思わず「すいません、私の話をしっかりと聞いてください」と言ってしまいました。


6)ハラスメントするけど、するな(⼤⼿⾏)

支店窓口に、相続書類の提出+私自身の振込手続に⾏ったところ、担当者の胸には「研修中」の札がついていました。なので、通常よりも少し時間かかるのは、仕方ありません。それでも、相続書類の提出は、さして待つことなく終わりました。上席者が主に対応してくれたようです。
続いて、振込手続です。こちらは、担当者が手続きを進めています。ロビーの椅⼦に座りながら、⾒るとはなしに⾒ていると、担当者が自信なさげに上席者に書類を渡す姿、上席者が嫌味っぽく担当者にダメ出しを繰り返す姿など、ソフトではありますが、パワハラともとれる言動が⾒え、とても嫌な気分になりました。振込手続が終わったのは、20分後です。さすがに時間がかかりすぎです。

ロビーには「カスハラ対策」のポスターが目⽴つように貼ってありました。カスハラは容認しませんが、それでも、この対応⼒では、お客さんも怒りたくなるときはあるだろうな、と思いました。

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スペースの関係で6つだけ紹介しましたが、他にも相続手続きでの“残念”体験はありました。
担当者個人の資質がどうこうではなく、当たり前のことが当たり前にできなくなっている環境、余裕のなさ(チェックの余裕、教育の余裕etc.)といった組織的な問題として捉えるべきでしょう。
気付いたところから手をつけ、“残念”体験を減らし、さらには“感心”体験を増やしていけることを期待しています。
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以上、髙橋昌裕からのYELLでした。